賃貸を退去する時に、気になるのが床などの現状回復の問題です。
床ね~。
入居してから傷がついたとわかるものなら、回復するのが当然かもしれないけど。
入居時のことを覚えているかも不安だし、現状回復と言ってもどこまでが借主の
責任でどう修繕すればいいのか、正直悩むわね。
アパート退去時のフローリング全面張替えの費用についての悩みです。
15年間住んだアパートを退去することになりました。
フローリング表面がはがれている箇所があるため、全面の張替えになるとのことです。
大家さんは全額借主の負担でと考えているようです。
築30年のアパートのフローリングの全面張替えの費用は大家さんの負担ではないかと思います。
不動産会社は敷金の清算業務までは請け負っていないので、くわしいことがわからず困っています。
今回は退去時に借主は床を現状回復すべきなのか、あるいはしなくてもよいのかについて紹介します。
目次
現状回復の意味と借主の義務について
本来は何かしらの事情により状態が変化してしまったものを、元の状態に戻すことを意味します。
賃貸物件の所有者であるオーナーが、新しい入居者を迎えるためにリフォーム工事をする場合に現状回復という言葉を使うことが多いです。
新しい入居者を迎えるためというのはわかるけど、どこまで戻すのが現状回復なの?
入居して何年も経っていたら、ある程度古くなっていくのは仕方ないと思うのだけど。
賃貸の契約における現状回復は厳密には、「入居前のきれいな状態に戻す」ということではないのです。
借主が故意・過失・掃除不足により破損・汚損してしまった床材や壁紙などを、「破損・汚損していなかったなら、あるべきだった状態に戻す」という考え方が最近の主流になってきています。
じゃあ入居して何年も経った経年劣化は、そのままの状態で明け渡していいということだね。
借主には現状回復の義務がある
借主は賃貸借契約の終了時に借りていた物件を現状回復して、貸主に返還する義務があります。
「現状回復義務の範囲」は基本的に通常の居住の仕方では、損耗・毀損しなかったはずの箇所を修繕するとされています。
くわしくは国土交通省の現状回復についてのガイドラインがあります。
わざと傷つけたり、掃除を怠ったりして汚した部分は入居者の負担、それ以外の普通に生活していて避けられない部屋の劣化や損耗は大家さんの負担ということになります。
現状回復に使われた修繕費用は敷金で清算され余剰分は借主に返還されます。
修繕費用が敷金を上回る場合は退去時に支払うことになります。
すでに受け取っている自然損耗分の修繕費用を現状回復費用として二重に請求するということはできないのね。
でもどこまでが自然損耗でどこからが現状回復なのかがわかりにくいわ。
現状回復の基準と相場
自然損耗と現状回復が必要な例
〇家具の重みで生じた床の傷
〇日焼けによって生じた壁や床の傷み
〇寿命で壊れたエアコンや水回り設備等
〇構造材に影響を及ぼさない画びょう等の小さな穴
✖長年手入れを怠って、除去できなくなった床や壁の汚れ
✖タバコのヤニによる壁クロスの汚れや黄ばみ
✖故意に開けた壁や床の大きな穴
✖大きな家具の搬入の際に養生を怠って生じた汚れや傷
✖飲み物などをこぼしたまま放置してできた、シミやカビ
✖雨が吹き込んだことによってできた色落ちや傷み
(建物の欠陥による雨漏りや日照が原因の場合は大家さんの負担)
✖布団を敷きっぱなしにしてできた床のカビ
✖キャスターによる床の傷やへこみ
上の国土交通省のガイドラインでは「経年劣化」と「過失による損耗」の割合について、
事例によって適切な割合が異なるとして、厳密な数値は決められていないのです。
ではどうやって決めているのですか?
算出の目安として「耐用年数」が決まっています。
これは建物などの固定資産がどれくらいの期間で価値が減少するかを定めたものです。
これによると床材の「耐用年数」は6年となっています。
この耐用年数を過ぎると設備の資産としての価値は1円になります。
「耐用年数」は設備を設置した年から、数えます。
床の場合は設置した年から価値が減っていき、4年目に現状回復をする場合は30%が賃借人の負担になります。
床の修繕は自分でしてもいいの?
床に傷をつけてしまったと思ったら、自分で修繕すればいいんじゃない?
この頃はホームセンターに行けば、色々なキットも売っているし。
そのほうが安く済ませられるんじゃない?
賃貸物件の床につけてしまった傷は時分で修理すべきではない。
多少の擦り傷や画びょうの穴くらいなら、市販の修理グッズで防げる。
大きな傷やひどい汚れは素人には修繕しきれません。
下手に修繕すると退去時の現状回復費用が高くなる可能性がある。
自分で修繕しようと試みて、失敗してしまったという例があります。
私はその体験談をよく聞いていますよ。
部屋の模様替えで、床が傷だらけになってしまい、クレヨンでごまかしたけれど、「掃除をすれば取れるので意味がないです。むしろクリーニング代がかさみます。」と言われた。
フィギュアの塗装が床につき、慌てて拭いたけれど、落ちなかった。
何とかしようと、シンナーで軽くふいたら、フローリングが白くなってしまった。
退去時は床の張り替え費用を請求された。
キッチンの床に傷が出来た時に市販の修理キットを使ったら、明らかに木目の違いが目立ってしまった。
退去時に不動産屋に指摘され、張り替え費用が掛かってしまった。
市販の修理キット等で隠すのは、パッと見ただけではわからないくらいにきれいに隠せた場合に限ります。
購入したものが色が違ったり、自分で修繕して傷の状況が悪化するといことも考えられます。
その場合はさらに費用がかさむことになります。
自分で見てもひどいと思うような傷や汚れになってしまった時は素直に、修繕費用を払う前提で何もしない方がいいということだね。
修繕費用の相場
フローリングの張替え | 2~6万円/1畳 |
フローリング 傷の補修費用 | 8000~3万円/1㎡ |
畳の交換 | 4000~35000円/1畳 |
カーペットの張替え | 8000~15000円/1畳 |
クッションフロアの張替え | 1~6万円/畳 |
巾木の交換 | 300~800円/1m |
★フローリングについては使う材質によって費用が変動しますが、マンションの場合は音が階下に響かないように、防音性の高いフローリング材を使う傾向にあります。
元々あったフローリングを撤去して、新しいものを張ると3~6万円。
既存の床の上から重ねて張ると2~5万円です。
★畳の交換方法には3種類あります。
片面がきれいな場合は「裏返し」、畳の表面を張り替える「表替え」、畳の本体全部を新しくしたい場合は「新調」します。
それぞれ「裏返し」は4000円「表替え」は5000円「新調」は1万円前後です。
★クッションフロアは洗面所やトイレに採用されているビニール製の床材です。
トイレを取り外して交換する必要がある場合は6万円近くかかります。
★巾木(はばぎ)とは壁と床の間の部材。
家具や掃除機をぶつけないように保護する役目がある。
壁クロスや床材を交換する時に一緒に変えることが多い。
入居前から行動することが大切
入居前に敷金返還のルールをチェックしておこう
賃貸を契約する時に注意してほしいことがあります。
賃貸借契約書には「特約」と言って退去時の敷金返還に関する特別事項が、盛り込まれていることがあります。
特約はガイドラインが示す現状回復の原則とは異なる旨が記載されていることがあり、この場合入居者の負担割合が多くなっているケースがあります。
ハウスクリーニング費用を一律でいくらと明記されていることが多いようです。
それはガイドラインに違反しているのでは?
ハウスクリーニングは原則では大家さんの負担ですが、「契約自由の原則」という
民法の基本原則に基づいて入居者負担にすることも可能です。
それにガイドラインはあくまで指標なので、法的拘束力はないのです。
消費者契約法や借地借家法に反していない限り、契約書が優先されることになります。
退去時に大家さんとの相違をなくすために
不動産会社や大家さんから「入居時チェック表」または「現状確認書」というものを渡されることがあります。
部屋の傷や汚れ・設備の不具合が入居前からなのか入居後なのかを明確になります。
これにより敷金の清算を公正にスムーズにする役目があります。
書類だけでなく傷や汚れの箇所を必ず写真をとって、一緒に提出することが重要です。
たとえ「入居時チェック表」が交わされなくても、傷や汚れがある場合は、不動産会社や大家さんと情報を共有しておくことが大切です。
必ず写真もとっておいてくださいね。
余計な修繕費用がかかったり、退去時に大家さんとトラブルにならないためには、入居中はとにかくきれいに使うことが大切だね。
何か設備の不具合や傷をつけてしまった等あったら、速やかに不動産会社や大家さんに報告を徹底することだね。
こまめに普段から掃除をして、退去時には大掃除することで入居者負担の修繕費をおさえることができそうね。
まとめ
現状回復は
- 耐用年数で判断される
- 借主には現状回復の義務がある
- 床の修繕は自分ですると失敗する場合も多いので注意が必要
修繕費用の相場は
元々あったフローリングを撤去して、新しいものを張ると高いと6万円ほどかかることもある
入居前には
- 敷金返還のルールをチェックしておこう
- 消費者契約法や借地借家法に反していない限り、契約書が優先されることになる
- 退去時に大家さんとの相違をなくすために、「入居時チェック表」「現状確認書」を渡されることがある
そうすれば退去時に床の張替えに高額な費用を請求されてびっくりするというようなことも防げそうね。
今回の記事を参考に、修繕費を支払う必要があるか判断してくださいね!
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上手に引越しをする人は、これと言って難しいことをしている訳ではありません。
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職場で引っ越しについて話していたら、
「賃貸から退去する時に床の張り替えを求められて、費用がかさんだ」
という話を聞いたよ。