あなたは引っ越しの退去時に、どれぐらいの掃除をする必要があるか知っていますか?
特に、「入居時に支払った敷金って返ってくるの?」と気になる方も多いと思います。
アパートに入居する時にかわす「賃貸借契約書」に、敷金の返還についての記載があるはずなんです。
ただこの契約書、とても細かくて難しいものなんで「なんだかよく分からないよ」と言う方もいますよね。
そこで今回は「敷金が戻ってくるための掃除のポイント」ついてご紹介します。
目次
敷金って何?
新しいアパートに入居するとき、大家さんに「敷金」を支払いますよね。
この敷金はあなたがこの先、家賃を滞納したりアパートを破損してしまった時に、大家さんがその損害を埋めるためのものなんです。
退去時のトラブルなどを防ぐためのガイドラインも「国土交通省住宅局」から提供されています。
そのガイドラインに基づいて、あなたが借りていたアパートを綺麗な状態で使用し、最後に綺麗に掃除をして明け渡せば、この敷金は戻ってきますよ。
でも、アパートを損傷したり、綺麗に掃除をしなければ、この敷金から修理費や清掃費が差し引かれてしまいます。
また場合によっては、敷金以上の修理費や清掃費を請求される場合もあるんです!!
これをミスると後が大変!!入居時にやるべきことは?
あとあと大きなトラブルにならないために、入居時に必ずすること。
それは、契約のときに大家さんに一緒に物件に立ち合ってもらい、その場で物件の状態の確認と記録をすることです。
この確認を大家さんと一緒にすることで、退去時のやりとりがスムーズに終わるんです。
僕の知り合いのMさんが退去するときに、自分で付けたかどうか覚えのない壁のシミの修繕を請求されたんですよ。
入居時にちゃんと確認してなかったから揉めちゃて、彼いま、すごく後悔してるんです。
「部屋中の写真でも撮っておけばよかった・・・」
って嘆(なげ)いてましたよ。
僕の友達は、入居時に大家さんの立ち合いの元、アパートの隅々をビデオカメラで撮影したんだ。
これで退去時に元々ついていた傷とそうでないものをハッキリ識別できたから、スムーズに契約を終了できたって。
大家さん自身もビデオに映ってるからバッチリ証拠になるしな。
ビデオ撮影は最強だよな。
うわー!
ビデオ撮影ですかぁ。
それは凄いですね。
でもそこまですれば後々安心ですよね。
Mさんようにならないためにも、契約時には念には念を入れて、部屋の隅々まで傷や汚れなどをチェックして、大家さんに報告してくださいね。
また、入居するときには、退去時の原状回復について、賃貸借契約書の内容をよく読んで契約事項を理解しておくことをオススメします。
原状回復って何すればいいの?
例えば、あなたが今のアパートに8年前に引っ越してきたとします。
8年前に入居したとき、カーペットにシミはありましたか?
キッチンは油でベタベタしていましたか?
入居したときは綺麗に掃除がされていたはずですよね。
そしてアパートを退去するとき、入居したときと同じ状態にして返すことを「原状回復」といいます。
掃除は基本、この「原状回復」をすれば敷金は戻ってきますよ。
必ず知っておきたい「経年変化」とは?
引っ越しの退去時には「原状回復」をしてアパートを引き渡すお話をしましたが、
「8年も住んでいたんだから、借りたときと全く同じ状態にするなんて無理だよ!」
と思いますよね。
その通りです。
8年も住めば、日照りで壁や畳が黄ばんだり、フロアーがくすんだりしますよね。
それを「経年変化」または「通常損耗」といいます。
月日が経てば建物は劣化するので、あなたの不注意ではない損傷に対しては、お金を支払う必要がありません。
「うん、言ってることは分かるけど、具体的にどんな感じか分からない」
という人のために、細かくリストアップしましたので、さらに詳しくご紹介しますね。
賃借者(あなた)が負担しなければならない傷や汚れは?
床(畳・フローリング・カーペットなど)
- カーペットに飲み物などをこぼしたことが原因でできたシミやカビ
- 冷蔵庫下にできるサビの跡
- 家具の運搬などでできたキズ
- 雨の日に窓を開けっぱなしにしたなど、不注意で起こったフローリングの色落ち
壁や柱、天井のクロス
- 台所の油汚れ
- 落書きの跡
- クーラーからの水漏れを放置してできた壁の腐食
- タバコのヤニや臭いによるクロスの変色
- 壁のくぎ穴やネジ穴
- ペットによるキズや臭い
設備、その他
- ガスコンロや換気扇の油汚れ、すす
- 風呂、トイレ、洗面台の水垢、カビ
- 鍵の紛失または破損による取替え
- 庭がある物件では、生い茂った雑草
僕も賃貸物件の契約の時にビデオ撮影しよっと。
だってMさん、シミはドアの横の壁だけだったんだけど、既存のものと同じクロスがないから、全部の壁のクロスを張替えるって言われたんですよ。
その他なんだかんだで結局38万も請求されたんですって。
いや、それはおかしいよ。
いくらそのシミが彼がつけたものだとしても、全面分の費用なんて払わなくていいんだよ?
彼が支払わなきゃならないのはせいぜいドアの壁一面だけのはずだよ
自分の過失でつけてしまったシミは彼の責任ですので、「原状回復」の考えに従って、元の状態に戻すことが要求されます。
しかし、それで全面張替えとなると、大家さんのほうの現状が回復どころか、グレードアップされてしまいますよね。
こういう場合はお互いの損失の折り合いを見て、部分的に負担するという結果になるんです。
こういったトラブルに巻き込まれても抗議できるように、「大家さんが負担する分」、「あなたが負担する分」をしっかり理解しておくことをオススメします。
もし今後、Mさんのような経験に出会ったら、大家さんからの不当な請求に応戦して、敷金をしっかり返してもらってくださいね!
賃貸者(大家さん)が負担するものは?
床(畳・フローリング・カーペット)
- 畳の月日が経ったための自然な変色
- フローリングの月日が経ったために起きた色落ち及びワックスがけ
- 家具を長く同じ場所に置いておくとできる床やカーペットのへこみ
壁、天井(クロスなど)
- テレビや冷蔵庫の後ろの壁にできる電気焼けによる黒ずみ
- 壁に打った画びょうの穴
- クロスの変色(日照などの自然現象によるもの)
- エアコン設置による壁の穴や跡
建具等、襖、柱等
- 地震や構造により自然に発生した破損や亀裂
設備、その他
- 専門業者によるハウスクリーニング
- エアコンの内部洗浄
- 台所やトイレの消毒
- 鍵の取替え(破損、鍵紛失のない場合でも行う)
大家さんが負担するものを知ることで、自分が新しい住居に入居するときも、大家さんの仕事がちゃんとされているかどうかが分かります。
そうすれば、どこに焦点を置いて物件の状態の記録をしたら良いかも、ポイントを押さえて分かりますよね。
では、以上のことを踏まえて、退去時に必要な掃除をご紹介します。
敷金を取り戻すために必要な掃除は?
床そうじ
- 掃除機かけ
- 床拭き
- フローリングの傷は床専用のクレヨンなどで埋める
- 絨毯のシミは抜いておく
壁や柱
- 柱の傷は充填修復材で埋めておく
- 壁の汚れは落とし、蜘蛛の巣やほこりも取る
- くぎ穴はシール材やパテで埋める
- 物件によっては埋めずにおいておくように言われる場合もあるので契約書を確認する
- 落書きは消す
- ペットの臭いがする場合は、壁や柱も拭く
特にペットを飼っている人は念入りに掃除したほうがいいわね。
自分では自分の家や、飼ってるペットの臭いってわからないものだから、家族以外の人に確認してもらうと分かりやすいと思うわ。
風呂、トイレ、洗面所などの水回り
- トイレと洗面所は水垢を落とし、床も磨く
- 風呂はカビや水垢を落とす
キッチンの換気扇やガスコンロ
- ガスコンロや換気扇の油汚れを綺麗にする
- 冷蔵庫下のサビは取り除く
- キッチンカウンターは拭き、シンクの水垢も取る
Aさんの体験みたいに、換気扇の中とか、冷蔵庫の下とか、ぱっと見分からないところや、家具を動かすのが面倒だからって見ないことにすると、あとで掃除代請求されちゃうからね。
窓ふき
- 窓のサンの汚れを落とす
- 窓ふきをする
- ベランダがあればベランダも掃除する
こうやって見ると、年末の大掃除のようなものですよね。
自分が生活していた場所だから、最後まで綺麗に掃除して明け渡したいなぁ。
僕が前に住んでいたアパートの大家さんは、退去時に要求される掃除をこと細かく書いた紙をくれたんだ。
それに沿って掃除をすればいいから便利だったよ。
でもそんな親切な大家さんばかりじゃないから、あとで取り返しがつかなくなるのを避けるためにも、契約時に確認するのが一番だよな。
実際、壁に釘だけじゃなくて、ピン1本打っちゃいけないっていう物件もあるもんな。
そうですよね。
それにMさんみたいに落とせる汚れじゃなくて、クロスのシミみたいに落とせないものもありますもんね。
38万なんていきなり請求されたら卒倒しますよ・・・
それぐらいの金額の金銭トラブルなら、少額控訴手続きをするといいよ。
そのシミは彼がつけてないって証明できなくても、全面分も支払う必要はないはずだからさ。
そうなんですね!
ありがとうございます、助かります!
早速彼に教えます!
「少額控訴手続き」とは、60万円未満の金銭の支払いトラブルを簡単に解決できる方法なんです。
1回の期日でお互いの言い分や証拠を出し合って、その場で判決が言い渡されるので、賃貸住宅でのトラブルでもとても多く利用されているんですよ。
- 民事控訴で、60万円未満の金銭の支払いのトラブルを速やかに解決できる
- 請求額が10万で1000円の手数料がかかるので、18万なら2000円の手数料で申し立てができる
- 裁判所で「定型訴状用紙」と呼ばれる申請書が手に入れられる
大家さんとこれ以上こじれるのが嫌だったから、第三者に公平に審査してもらうために、この少額控訴手続きをしました。
壁のシミを含む部屋全体の写真と、大家さんから全面請求された証拠を揃えてから、裁判所で専用の訴状用紙をもらって申請しました。
結局僕の支払い分は6万円で済んだから、敷金でまかなえたんです!
本当にひこ助さんと海太郎さんには感謝をしてもしきれないですよ。
まとめ
入居時に必ずすること
- 契約時に大家さんに物件に立ち会ってもらう
- アパート内で、物件の状態の確認と記録をする
- 建物の傷やシミなどを見つけたら、写真やビデオを撮る
原状回復とは
- 借りた時の状態に戻して返すこと
経年変化と通常損耗とは
- 月日が経って自然に劣化するものに対しては責任を取らなくて良いこと
あなたの負担になる場合は
- 自分の落ち度でつけた傷やシミ
- フローリングの傷や壁の穴は埋める
- 壁のクロスやカーペットのシミを落とす
- キッチンの油汚れを掃除
- トイレやお風呂、シンクの水垢を落とす
- ペットの染みついた臭いを落とす
- 窓ふきやベランダ掃除をする
大家さんが負担するものは
- 自然に劣化したために起こった故障や日照による変色など
- フローリングのワックスがけ
- 変色した畳やクロス替え
- 地震や建物の構造により発生した破損や亀裂の修理
- 専門業者によるハウスクリーニング
- エアコンの内部洗浄
- 台所やトイレの消毒
- 鍵の取り換え
納得いかない請求をされたら
- 60万円以下の請求額なら、少額控訴手続きを利用して審査してもらう
今回は「敷金が戻ってくるための掃除のポイント」をご紹介しましたが、いかがでしたか?
知っておかないと大変な思いをしたり、損をする情報ばかりでしたよね?
「契約」って固苦しくて難しいので、できるだけ分かりやすく簡潔にまとめてみました。
今回ご紹介したガイドラインさえ分かっていれば、退去するときだけでなく、新しい引っ越し先へ入居するときにも役立ちますよ。
退去時に起こるトラブルを回避して、しっかり敷金を返還してもらってくださいね!
まだ直接引越業者に電話見積もりをしているんですか?
その判断、めちゃめちゃ損ですよ。
引越業者が提示する金額が、一番安いとは限りません。
むしろ営業マンは「価格交渉をすることを前提」で話すので、何も知らないでいると「本来の2倍以上」お金を取られてるかもしれませんよ。
仮に単身引越しの金額が10万円と言われた場合、ホントは5万円程度で引越しができたかもしれません。
その差は5万円です!
お得に引っ越す方法を知らないだけで、悲劇が待っています。
働いて稼ぐとしても、時給1,000円として頑張っても50時間も必要です。
1ヶ月のうち4分の1も、タダ働きになっちゃいますよ。
逆に5万円あったら、何をしようかな?もし引越し先にエアコンが無くても、あなたに知識があったお陰で、ほぼ無料で手に入りますよ。
引越しを頑張ったんだから、ご褒美に美味しいものを食べちゃいましょう!
上手に引越しをする人は、これと言って難しいことをしている訳ではありません。
「一括見積もりサイト」を活用して、「価格交渉をする」たったこの2つだけです。
どんな見積もりサイトが良いのか?
あなたに合ったベストな見積もりをしましょう!
わたしが前回引越したとき、恥ずかしいんですけど、掃除って適当にやっておけばいいと思っていたんですよね。
なので、引っ越し1週間ぐらい前からぼちぼち始めていました。
でも引っ越し当日は思った以上に忙しくて、時間も押しちゃって、最終的な掃除が間に合わなかったんです。
「今までの掃除でとりあえず見えるところはやったからいいかな?」って思ってたんです。
でも、あとで大家さんに、家具を動かした後の汚れとか、キャビネットの中とか、換気扇の中までしっかりチェックされて、掃除代を時給2000円で計算して、結局敷金から差し引かれてしまいました。
自分が悪いんですけど、時給2000円もするなら、ちゃんとやれば良かったなって後悔しました。